SERENDIPITY NOTES / 読み物
偶然は、気づいた人のものになる。
偶然と偶然が重なった一瞬に気づくと、ただの景色が、忘れられない記憶になることがあります。

偶然は、気づいた人のものになる
天草・風来望で出会った小さなSerendipity。
天草の西海岸にある、Holiday Park 風来望。
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海がすぐそばにあって、少しだけ外国のような空気が流れる場所だった。カヌーに乗ったり、海を眺めたり。何か特別なことをしなくても、そこにいるだけで時間が少しゆるむ。
そんな場所で、一匹の猫に出会った。テーブルの上で、これ以上ないほど気持ちよさそうに眠っている。
そして、そのすぐ下には木の看板が置かれていた。「休憩中」。

思わず笑って、写真を撮った。もちろん、猫は何も狙っていない。看板の意味も知らないだろうし、私を笑わせようとも思っていない。ただ、そこで眠っていただけ。でも私は、こういう瞬間が好きだ。
偶然と偶然が重なって、 一瞬だけ、小さな物語が生まれる
そして、それに気づいた瞬間、ただの景色だったものが忘れられない記憶になる。
私は昔から、こういうことがよくある。予定していなかった場所に行く。たまたま誰かと出会う。ふと目に入ったものが、後になって別の何かにつながっていく。
その時には意味なんて分からない。けれど時間が経って振り返ると、「ああ、あれはここにつながっていたのか」と思うことがある。
私が屋号にしたSerendipityという言葉も、そんな感覚に近い。Serendipityは、ただ幸運な偶然を待つことではない。
偶然の中に何かを見つけること
そして、その小さな兆しを自分の未来へつないでいくこと。
偶然そのものは、きっと誰のところにも訪れている。違うのは、それを「面白い」「なんだろう」「これ、好きだな」と拾うかどうか。
あの日の猫もそうだった。見過ごしてしまえば、ただ猫が寝ていただけ。でも私は立ち止まった。笑って、写真を撮った。そして何年か経った今、その一枚から、こうして一つの文章が生まれている。これもまた、Serendipityなのだと思う。
人生を大きく変える出来事ばかりが運ではない。何気ない一瞬を面白がれること。小さな偶然を見逃さないこと。まだ意味のないものを、いつか何かにつながるかもしれないと、そっと持っておくこと。そういう感覚が、人生を少しずつ豊かにしていく。
旅先で出会う、こういう一瞬が好きだ。予定にはない。だから、忘れない。
そして今日もまた、あの日の猫を見ながら思う。偶然は、気づいた人のものになる。それが私にとってのSerendipityなのかもしれない。
松尾純子.|Serendipity|運の設計室
TRAVEL RECORDS
旅の記録を、もう少し。
景色を変えた日に考えたことを、天草・阿蘇・屋久島の記録として静かにつないでいます。
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